君の瞳に恋してる

朝霧 透湖


 愛しい人は、あんなにも眩しい。まるで光のようで届かない。もがく自分が情けなくなる。さらさらと前を通り過ぎる色素の薄い髪。無邪気で穏やかな微笑み。
きっとお前は、俺の届かない所へ行ってしまうかもしれないな。ーそれでも。今はただの友達でも。構わないよー舞子。俺はずっと見てるから。お前が俺を照らしてくれる。どんな時も、お前の笑顔に救われた。暗闇にいた俺を引きずり出してくれたんだ。だから俺はもっと強くなりたい。いつかーー俺をその瞳に移してくれるように。
『近江君、また修行の旅に行ったの?剣持さん』
『ええ。しばらく帰らないそうですよ』
『なぁーんだ。せっかくおいしいものおごって貰おうと思ったのに』
『舞ちゃん!もう..ほんとに食べ物ばかりなんだから。そんなんじゃ、近江君が可哀相でしょ!』
『ええ?なんで近江君が可哀相なの翔ちゃん。おごってくれるって言ったの近江君の方だよ』
翔子と剣持は盛大に溜息をついた。はたして近江に報われる日はくるのであろうか。

              −終−