りん |
俺はずっと冷たい心だけを抱えて生きていかなくてはいけないんだと自分に言い聞かせてきた。 実父の葬式をすっぽかし学校へ行った俺はあいつと出会った。 あれだけ探した兄との勝負は冷静さを欠いた俺の完敗。心身ともに打ち負かされた時あいつは俺のもとへやって来た。 「だって池田くん、バイクに乗ってから一言も口きいてくれなかったから…。」 俺は何をしているんだ、今の俺に必要なのは冷たい心だ。 あいつの温かさを振り払うように修行に出た俺は因縁を晴らすために飛騨へ向かった。 そこで俺は目を疑った。倒すべき一族とあいつが闘っている…偶然に驚きながら危険を犯し助けに入った。そして共闘し、目的を果たすことができた。 その後、剣持さんのところで世話になりながら俺も内調の依頼であいつと行動を共にすることが増えた。 ある時敵の幻影であいつは俺が死んだと思いあわてて駆けつけてくれた。 もともと人に心を開くのを苦手とする俺も、あいつといることで暖かい日の光が差し込んでくるように感じる。 なぜだろう、冷たい心だけの時よりも今の方が強くなった気がする。 「近江君〜!こっちこっち〜!早くしないと限定ケーキ売り切れちゃうよ〜!」 笑顔で手を振るあいつを見ているとこうやってあいつといるのも運命な気がする。 (終) |