りん |
この日、舞子と翔子は2人で買い物に出掛けていた。 「ね、翔ちゃん。新しい下着屋さんだって!!入ってみようよ!!」 「本当だ。みてみようか。」 2人は店の扉を開けた。 「ね〜ね〜、これすごいカワイイ!!翔ちゃんに似合いそう!!」 舞子は白いフリルの下着を手に翔子に話し掛けた。 「本当、可愛いわね。舞ちゃん今度の近江くんとのデートにどう?」 翔子はにっこり微笑む。不意討ちで右ストレートを喰らったような表情で舞子はむせた。 「し、し、し…翔ちゃん!!」 翔子は表情を変えずに続ける。 「それともこんな感じの下着で迫ってみる?」 翔子は手に取った黒い総レースの下着を見せた。布地は極めて小さく最小限に隠すだけのもののようだ。 「し…翔ちゃんこそ…あたしより先に次のステップに進むんじゃない?白妙大人だし…あたしまだ近江くんとはキスしかしたことないし…。」 舞子はゴニョゴニョと言葉を濁した。 (あらら、珍しくしおらしいこと…恋は女を変えるのね〜。) そんな可愛い妹に翔子は微笑んだ。 「それはどうかしら。近江君、舞ちゃんの事本当に好きなの見ててバレバレだし。」 舞子は赤い顔をあげて小さく頷く。 「女の子なんだもん、いつでも大丈夫なように準備しとかなくちゃ!!」 翔子はポンと舞子の肩を叩いた。 「そうだね。いざという時に可愛い下着じゃないとがっかりさせちゃうもんね。」 舞子は満面の笑みで翔子を見た。 (そうそう、それでこそ舞ちゃんだ。) 翔子は微笑んだ。 その後2人は清楚な下着からカラフルな下着、これはどうやって着るんだというような色っぽい下着を見て、その中から特別な一組を選んだ。 「なんだか近江君と次に一緒に出掛けるのすっごい楽しみになっちゃった。」 「ふふふ、そうね。」 「近江君、可愛いって思ってくれるかな〜。」 「近江君、そうなったらきっと必死でそれどころじゃないんじゃない?」 「え〜。それじゃダメじゃん。」 「あはは、そうね。」 膨れる舞子と顔を突き合わせ翔子は笑った。 (あたしも白妙に会いたくなっちゃったな…。) 舞子と翔子は紙袋をキュッと抱きしめ家路を急いだ。 大人の階段を登る日はいつ来るのか…案外近いかもしれない。 (終) |