りん |
ここはカルラ心療内科。 「次の方、お入りください。」 看護師に呼ばれ患者は診察室に入った。 「えっと、小椋冬樹さんですね。今日はどうしましたか?」 青年は重い口を開く。 「実は俺、自分がマザコンなのかロリコンなのかわからなくなってしまいました。」 「詳しく教えて下さい。」 翔子先生の言葉に青年は続ける。 「俺は事情があって小さいときに親元から離れ、ある人の世話になって育ちました。その人は姉のように、時には母親のように俺を育ててくれました。」 「それから?」 「あれから何年も経っているというのにその人は年を取りません。いつまでも少女のように可愛らしいのです!!」 青年はため息をついた。 「俺はその人を心から大切に思っています。だから悩むのです…俺はマザコンなのかそれともロリコンなのか…。」 翔子先生は少し考え青年を見つめた。 「こだわる事はないのではないでしょうか。あなたはその人を愛している、それだけで充分なのでは?」 青年はまるで目から鱗が落ちたように表情を明るくする。 「そうか…そうですね。マザコンなのかそれともロリコンなのか悩む必要はない…俺は魅冬様を愛している!!それでいいんだ!!」 青年は今にも踊り出しそうに歓喜した。 「先生、ありがとうございます。俺、吹っ切れました!!」 翔子先生は笑顔で頷く。 「念のために呪木子の種を5日分処方します。それを額につけて様子見てください。また調子が悪かったらいつでも来て下さいね。」 青年は翔子先生の処方した薬を手に意気揚々と帰っていった。 今日もカルラ心療内科は忙しい…そう、迷える子羊逹を導くために…。 (終) |