りん |
ここはカルラ心療内科。心に悩みを抱えた迷える子羊逹の駆け込み寺。 「次の方、お入りください。」 看護師に呼ばれ患者は診察室に入った。 「大霊のワニさんですね。今日はどうしましたか?」 着物を着た女性は重い口を開いた。 「妾は浄化出来ぬ。」 「詳しく教えて下さい。」 「妾は藤原の鎌足によってこのような姿になった。平城宮朱雀門が開いたので出て参ったが主はおらぬし浄化しようにも妾は血に塗られておる。」 女性はため息をついた。 「そなたは妾の主人になってはくれぬかえ?」 翔子先生は少し考えて女性の目を見つめた。 「もしかしたら思い込みが邪魔しているのかも知れません。目を閉じてみて下さい。光が見えませんか?見えるのなら浄化できます。」 女性は目を閉じ意識を光に向けた。 「光が段々近づいてくる。千年の後に清められる喜びがわかるか!?」 女性は今にも踊り出しそうに歓喜した。 「礼を言う!!」 翔子先生は笑顔で頷く。 「念のために大祓え祝詞のコピーを処方します。これで清められて下さい。また調子が悪かったらいつでも来て下さいね。」 女性は翔子先生が処方した薬を手に意気揚々と帰っていった。 今日もカルラ心療内科は忙しい、迷える子羊達を導くために…。 (終) |