カルラ劇場の過去ログです。
湛「実は、舞子くんと翔子くんのおばあさんに頼まれたのだ。狂言をな。あの少年(近江)を挑発して欲しいと。」
翔子「あら(おばあちゃんたら。そういうこと)」
匠「じゃあ・・・・(目が輝く)」
湛「ああ。そういうことだ。この役は私が打ってつけだったそうだ。」
永鉄斎「たしかに。」
剣持「しかしこの男の場合演技をする必要がないくらい、自然ですね(汗)。」
永鉄斎「それも言える。」
湛「私の一番大切なのはお前だ。匠。原作では色々あったが・・・」
匠「うん。僕を籠の鳥にしてしまった発言とか、けっこう意味深なこと言ってたよね。」
湛「そ、それはともかく、匠。私と一緒に諏訪に帰ろう。もう用は済んだからな。」
匠「そうだね、湛。帰ろうか。」
ナレーション「爽やかに仲睦まじいがとても迷惑な二人(汗)」
翔子「・・・おばあちゃん・・・これでいいの?(汗)」
ナレーション「翔子の茫然とした呟きに頭の中へ『いいのじゃ』という返事が。」
湛「はやく帰ろう、匠。このまま長居してあの少年が戻ってきたらお前の身が危ない。」
匠「う、うん。『いつか殺す』なんて言われちゃったし、たしかにこのままいたら僕は殺されるね。帰ります。みなさん、お騒がせしました。(ぺこり)」
ナレーション「そう言ってあっさりと去って行った二人。とんだ嵐であった・・・・・・。」
翔子「なんだか、あまりに迷惑すぎて、返って追及する気がおきません・・・・・・。」
錦織「・・・・・はーっ。わかっていても疲れるものがあるな。」
剣持「やはり、錦織さんもおばあさんに言われていたんですね。」
錦織「まあ、な。逆らえんだろう、あのばあさんには。俺は役不足だったがな(お前の挑発担当には)」
ナレーション「そんな錦織の心境を察しているのかいないのか、ふっと微笑すると」
剣持「さあて、向こう・・・近江君と舞子さんの様子はどうなっていますかね。ホテルの式場に行ってみましょうか。」
翔子「鎌倉の二体の霊もくっついていってしまいましたものね。」
永鉄斎「お前さんのばあさんとやらもおっかねえなー。近江と舞子嬢ちゃんを何とかするためにあの二体の霊を利用っていっちゃあ聞こえが悪いがまあ、そういう目論見を立ててたんだろ?」
剣持「さすがにじれったくなったんでしょうねえ。気持ちはわかります。あの人はことに豪快な気質ですから。竹を割ったようにはっきりしたことを好むので。」
ナレーション「式場に向いながら何ともいえない表情で会話する一同。」
翔子「まあでもあの二人は誰が見てもじれったくなりますもの。」
永鉄斎「そろいもそろって野暮な連中だぜ。」
錦織「まあ、そこがよいとも言うな」
翔子「でも、舞ちゃんが本当に結婚したら寂しくなるな。」
剣持「だったら私達もどうですか?」
翔子「おもしろい冗談ですね。」
永鉄斎「(ぼそっと)この二人もじれったいぜ」
レーション「うなずく錦織彰。」
永鉄斎「着いたぜ」
ナレーション「式場に一同が足を踏み入れるやいなや、舞子の怒声が響きわたった。」
舞子「ちょっと近江君?!いきなり殴るなんて卑怯だよ!!見損なった!!」
近江「非常事態だったんだ!お前は霊に憑かれてるんだぞ。――だけど、お前の意識を無理やり奪ったのは確かだからな。そのことについてはどう責められても仕方ないさ。殴ってもいい。」
舞子「わかった。歯、食いしばって!!」
効果音「ドゴオオォオッッ!!!」
ナレーション「舞子の怒りの鉄拳が近江に炸裂!!」
近江「ウワアァ〜〜〜〜!!!」
剣持「お、近江くん?!」
ナレーション「あわれ式場の外まで吹っ飛ばされた近江は、そのまま失神してしまった・・・。」
舞子「(ちょっと心配になって)やりすぎたかな!?近江くん(側にかけよる)」
ナレーション「みな、何も言えないまま硬直している。」
舞子「近江くん!(彼に活をいれる)」
近江「ん……扇……―――っつ〜!(頬をおさえてうめく)効いた!――気が済んだか?」
舞子「うん。ごめんやりすぎた。(彼の頬に手を当て)一二三四五六七八九十ふるえゆらゆらゆらゆらとふるえ……」
ナレーション「近江の潔さにさすがにとがめるところがあったのか、少し微笑して一二三呪文を唱える舞子」
舞子「……ねえ、近江くん。あたし何か近江くんを傷つけるようなこと、言ったの……?さっきまでの記憶ぼんやりしててあんまりないんだ……もし……」
ナレーション「怒りは去って冷静になったようだ。不意にうつむき加減に舞子は尋ねる。」
近江「いいさ。いやほんとは良くないけど俺だってお前の意識を無理やり奪ったんだ。――そうだな。今度何かおごってもらうとするか。」
舞子「そんなのでいいの?ありがとう。そしてごめんね。――頬、楽になった?」
近江「ああ。後は冷やせば大丈夫だろう。」
ナレーション「微笑し合う二人。周りは今度は別の意味で入りこめなくなった。」
錦織「なんだかんだいって仲いいじゃないか(微笑)。」
ナレーション「まるで父親のような微笑みの錦織である。」
永鉄斎「余裕たっぷりじゃねぇか公務員.そろそろ自分だって焦らにゃいかん歳だろう」
錦織「うっ・・・・」
剣持「永鉄さん、お約束通り鍼を打ってさしあげましょうか?」
ナレーション「思えばこのじいさんが騒ぎを大きくしていたのだ。」
錦織「ほんとだよなあ…(汗)」
永鉄斎「なんだよー。いーじゃねえか。おいさき短い身なんだから楽しんだってよー。」
剣持「物事には限度というものがあるんです。やっていいことと悪いこと、言っていいことと、いけないことがあるんです。」
ナレーション「説教をはじめる闇の死繰人。さすがに永鉄斎も今は茶化すのはまずいと判断したらしい。」
永鉄斎「へぇへぇ。俺が悪かったよ。…しかし、まぁ、なんだな。クイッと一杯やりたか」
剣持「それいいですね。飲みましょう!」
ナレーション「永鉄斎の言葉を遮って剣持が嬉々として手に持った酒をかかげる。」
剣持「まずは一献。」
錦織「お前ら…(汗)。今日はもう止めといた方がいいんじゃないか?」
ナレーション「と、」
効果音「ちゃらららら〜♪(携帯の着信音)」
錦織「な、なんだ今度は・・・はい、錦織です・・・・えっえええええええっ!!!!!!!」
剣持「どうしました、錦織さん。」
錦織「そ、それがな、聞いて驚け。」
永鉄斎「がああああああああああああん」
錦織「まだ何も言ってないぞ。」
永鉄斎「わりいわりい、で、どうしたよ。」
錦織「扇千景さんが、新党の党首に決まったそうだ。」
剣持「それはそれは……(驚きの溜息)」
翔子「おばあちゃんたら、そんなものを狙っていたのね。」
剣持「これで日本の未来も明るいですね。」
錦織「…いいのか?『保守』党だぞ?俺は知らんぞどうなっても」
永鉄斎「『保守』党ねえ。」
舞子「なになに何の話し?・…えー?!おばあちゃんが新党の党首に?!・・・それってすごいことなんだよね・・・?」
翔子「とってもすごいことなのよ。舞ちゃん。」
舞子「ふーん。それじゃあ、翔ちゃんが総理大臣になるのも夢じゃないね!」
翔子「そうね。(にっこり)」
ナレーション「にこやかに何かをたくらむ教祖の片割れであった。」
舞子「教祖と教主ってどう違うの?」
剣持「教祖は宗教を開いた人のことで、教主は宗教の代表の人のことなんですよ。」
舞子「ふ〜ん。」
近江「俺が宗教つくったら、教祖になるのか…。」
ナレーション「間違いでした。すみません。近江よ、宗教創る気なのか。」
近江「言ってみただけだ。」
舞子「なーんだ,本気にしちゃったよ-(にぱっ)」
剣持「近江くんが宗教つくるんなら,私もつくろうと思ってたんですよ.」
永鉄斎「たんなる針の学校になるんじゃね-か?」
剣持「いえいえ。針あんどお料理学校です。」
翔子「あー、剣持さんの作るお味噌汁おいしいですもんねー」
ナレーション「どっちにしたって宗教ではないぞ剣持。」
剣持「なにをおっしゃるナレーターさん。料理を制するものは人の心も制するのですよっ。・・・ねえ、近江君。」
近江「え、あ、はあ、まあ。美味いもん食ってりゃ人間性豊かになりますしね。」
舞子「うん。あたし料理上手い人好きだな。近江くんなんてその若さで料理の名人だもんねー。師弟揃って料理名人かあ。今度ご馳走してね。」
近江「(内心照れる)お前だってけっこう料理上手いんじゃないか?」
剣持「はいはい。いつでもいらしてください。舞子さん、翔子さん。腕をふるってご馳走しますよ(^^)。」
翔子「私にもおいしいお味噌汁の作り方、教えてくださいね。剣持さん」
舞子「あー。んじゃ今度手料理ご馳走するね、近江くん(にっこり)。」
近江「んー。しゃーねーから食ってやるか。」
舞子「しゃーないなら、食わなくていいっ!」
ナレーション「そういいながら、ニコニコしている二人であった。」
永鉄斎「(こっそり錦織に耳打ち)ナンダカンダいって仲いいじゃねーか。」
錦織「(こちらもコッソリ)あっちもな。」